Book Review|『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』岸田奈美

Book Review

いやーーー泣いた。そして笑った。でまた泣いた。

岸田奈美さんの『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』というエッセイ本。

実はこの本、最近買ったのではなく、確か半年くらい前に購入して読んでます。

その初めて読んだ時も、たくさん泣いて笑った。大好きな本になった。

久しぶりにまた読みたくなって読み返した。

そしたら、またたくさん泣いて笑った。やっぱり大好きすぎる。

 

それでレビューを書こうと思った。

好きなものは、広めんとな!

 

この本は、著者の岸田奈美さんが、ご自身のご家族のことを書かれたエッセイ本。

下半身麻痺で車椅子のお母さま、自閉症の弟くん、そして中学の時に亡くなられたお父さまの話。

こんなドラマティックに災難や困難がふりかかって来る人っているんだーというくらいすごい家族状況。

そして、それを家族の中でひとり健康な奈美さんが、たくましく強く面白く乗り越えてくのだ。

しかもたくさんの周りの人の愛や助けに支えられて。

 

そのどのストーリーにも、ハプニングとミラクルが溢れまくってる。ストーリーそのものだけで既に珍しいし興味深い。

それが、さらに奈美さんの面白フィルターを通して描かれるから、本当に笑える。まじでおもろい。

読みながら声出して笑っちゃう。

 

そして奈美さんのエッセイは、愛が溢れてるのだ。

だから泣ける。

奈美さんからご家族への愛情、奈美さんの家族から奈美さんへの愛情、奈美さんが周りの人にかける気配りや優しさ、周りの人が奈美さんにかける優しさ、サポート、助け、愛情。

読んでいてとても温かい気持ちになる。

 

この本を読んでると、生きるって悪くないなって思う。

どんなにつらいことがあっても、それをどう受け止めて、何をどう選択して生きてくかで、人生ってこんなにキラキラ輝くんだなって思わせてもらえる。

車椅子のお母さまもダウン症の弟くんも本当に楽しそうに一生懸命生きていて、そしてそれが本当に美しいの。

奈美さんがきっと、ご家族の生き方を美しい・逞しいって思ってるんだなっていうのが伝わってくる。

奈美さんのご家族への優しさと愛情が、文の全てがから伝わってくる。

だから本当に泣ける。まじでボロボロ涙流して泣きました。

  

そしてタイトルがまた素晴らしいよね。

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』

そうなんだよね、ほんとそうなの。

 

私は常々、家族は選べると思ってる。

アメリカに住んだことがあって、向こうには結構そういう考え方がある。

アメリカの特に貧困層にはとんでもなくめちゃくちゃな家族も多くて、例えば親がドラッグディーラーとかDVや虐待もひどいとこは本当にひどい。

人種差別やセクシャリティーの問題が、家庭にまで深く影を落とすところもある。

だからか、親と完全に縁を切ってるみたいな人もいて、そういう中で、「自分の家族は自分で選ぶ」という考え方がある。

 

最初にその考えを知った時は、びっくりした。

日本で、愛情深い両親と親友のように仲の良い弟の中で、たっぷりの愛情をかけて育ててもらった私には、あまりにも知らない世界だった。

でも、アメリカで色んなものをみて、その考えが腑に落ちた。

今では、「家族は自分で選ぶ」という考えに、私はとても賛同している。

「家族だから」仲良くするべき、なんて全く思わない。

 

私は、自分の家族が本当に大好きだ。

私は、たまたま好きな人たちが家族だった。

尊敬できる父親、頼れるし優しい弟、そして今は亡き誰よりも私のことを思ってくれていた不器用だけどめちゃくちゃかっこいい母親。

でもそれは、奈美さんの言葉を借りるなら、家族だから愛してるんじゃない。

彼らが彼らだったから大好きで、それが私の場合は家族だった。幸運なことに。

 

もし私が家族関係を築きたいと思えない家族の元に生まれていたら、きっと私は自分が家族と思える別の人との人間関係を作ることに力を入れていたと思う。

これはマジな話。

 

家族だったら、自動で関係がよくなるわけじゃない。

家族だろうと友達だろうとパートナーだろうと、人間関係は築いていくことが大事だと思っている。

努力っていうとちょっと大袈裟だけど、でもいい関係を作るために時間や思いやりや時にはお金や、なんらかを自分から動いてくるっていうのはすごく大事。

もらうだけなんてあり得ない。何もしなくて良くならない。

 

人生は辛いこともたくさんあるから、助け合いが必要。

私ができることは私がやる。私がしんどいときは頼らせてもらう。助けてもらう。そして死ぬほど感謝する。

で、たくさん一緒に笑う。美味しいものを食べる、飲む。

そうやって人間関係って築かれると強く信じてる。

 

なんかね、奈美さんの生き方は、その私の考えにもすごいマッチする。

奈美さんは、ご自身の大切で大好きな家族のために、できることをたくさんする。

車を買ったり、免許を取ったり、弟くんをグループホームに入れたり。

それはそれはすごいのよ。

結構ハードモードのRPGをクリアしてくの。

その行動力や生き方があるから、きっと素晴らしい家族関係を作れてるんだなって強く感じる。

 

ああ、いいエッセイってたまらないよねー。

人生は小説より奇なりっていうけど、本当だよ。

しかも圧倒的に文才がある人のエッセイって本当に面白いし胸がじーんってなる。

リアルな人間の話だから。 

 

この本を久しぶりに読んで、泣いて笑って、なんかすごくデトックスされた。

もし自分の人生にすごいしんどいことが起こったら、奈美さんのエッセイ読もーっと。

noteも定期購読しちゃったよ。

応援してます!

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